企業の資金繰りにおいて、売掛金の管理と回収は極めて重要です。未回収の売掛金は経営の大きなリスクとなり、不良債権化すれば倒産の原因にもなりかねません。そうした問題に対応する手段として、**「債権回収（サービサー）」と「ファクタリング」**という2つの選択肢があります。
🔹 債権回収（サービサー）とは？
**サービサー（債権回収会社）**とは、法務省の認可を受けて債権回収業務を代行できる専門業者です。未払いの売掛金に対して、**督促・交渉・法的手段（訴訟など）**を通じて回収を行います。平成10年に施行された「債権回収業に関する特別措置法」に基づき、弁護士以外の企業でも国の許可を得て債権回収業務が行えるようになりました。
✅ サービサーのメリット
- 国の認可を受けた安心感と法的な正当性
- 自社での督促業務を省略し、業務効率化に貢献
- 回収成功により、不良債権化のリスクを軽減
⚠️ サービサーのデメリット
- 手数料負担が大きい（目安：15〜25%程度）
- 回収過程で取引先との関係が悪化するリスクがある
- 強硬な督促・訴訟が原因で取引停止に至ることも
🔹 ファクタリングとは？
ファクタリングとは、売掛債権をファクタリング会社に売却することで、期日前に現金化できる資金調達手法です。2社間ファクタリング（取引先に通知せず利用可）や3社間ファクタリング（取引先の承諾あり）など複数の形態があります。
✅ ファクタリングのメリット
- 即日〜数日で資金化が可能（スピード重視）
- 借入ではないため、信用情報に影響しない
- 売掛先が倒産しても「ノンリコース契約」でリスク回避可
⚠️ ファクタリングのデメリット
- 手数料が高め（2社間：10〜20%、3社間：2〜10%）
- 売掛金を現金化するだけであり、未回収リスクの解消にはならない
- 一部に悪質な業者も存在し、業者選定には慎重さが必要
🔍 債権回収（サービサー）とファクタリングの違い
| 比較項目 | 債権回収（サービサー） | ファクタリング |
|---|---|---|
| 主な目的 | 未回収債権の強制的な回収 | 売掛債権の早期資金化 |
| 影響範囲 | 取引先との関係悪化の可能性あり | 取引先に知られずに活用可能（2社間） |
| 手数料相場 | 約15〜25%（内容により変動） | 約2〜20%（方式によって異なる） |
| 信用情報 | 登録されない | 登録されない |
| 回収スピード | 訴訟等により長期化する可能性 | 最短即日で資金調達可能 |
💡 どちらを使うべきか？使い分けのポイント
🔸 サービサーが向いているケース
- 長期にわたって売掛金が未回収で、法的対応も検討している
- すでに取引先との関係が悪化しており、関係維持より回収を優先
🔸 ファクタリングが向いているケース
- 売掛先は健全だが、早期の資金化が必要
- 銀行融資が難しく、信用情報に傷をつけたくない
- 今後も取引を続けたい企業相手の資金回収をしたい
✅ まとめ
債権回収（サービサー）とファクタリングは、どちらも売掛金に関する問題を解決する手段ですが、目的とタイミングによって適した方法が異なります。
- 資金繰り重視・信用維持 → ファクタリング
- 強制的な回収・法的対応 → 債権回収（サービサー）
それぞれの特徴をしっかりと理解し、自社の状況に最も適した方法を選びましょう。
