
企業の資金調達において代表的な方法として、「銀行融資」と「ファクタリング」があります。それぞれの特性を理解し、経営状況や目的に応じて選択することが重要です。
🔹 銀行融資とは?その種類と特徴
銀行融資は、信用力の高い企業が利用しやすく、低金利で長期的な資金調達が可能です。主な融資の種類は以下の7つです:
① 証書貸付(しょしょうかしつけ)
- 契約書(借用証書)に基づく融資
- 【用途】運転資金(〜7年)/設備資金(〜15年)
- 【メリット】長期融資が可能、契約条件の自由度あり
- 【デメリット】審査が厳しく、融資までに時間がかかる
② 手形貸付
- 借入人が約束手形を振り出し、銀行から融資を受ける形式
- 【用途】短期の資金調達(数ヶ月)
- 【メリット】スピーディーな融資、審査が比較的緩やか
- 【デメリット】支払期日までに返済できないと「不渡り」に
③ プロパー融資 & 保証付融資
- 信用保証協会の保証を付ける「保証付融資」
- 銀行単独で行う「プロパー融資」
- 【メリット】保証付きは審査に通りやすい
- 【デメリット】保証料・金利などのコストがかかる
④ 当座貸越
- 銀行が定めた限度額内で自由に借入可能な形式
- 【メリット】柔軟な資金繰りが可能
- 【デメリット】常時借入の必要があると金利負担が増大
⑤ 売掛金担保融資(ABL)
- 売掛債権などを担保にする融資
- 【メリット】無担保でも可、資産を活かせる
- 【デメリット】債権管理・監査の負担が増す
⑥ ビジネスローン
- ノンバンクや銀行系が提供する中小企業向け融資
- 【メリット】スピード重視、担保不要
- 【デメリット】金利が高くなりやすい
⑦ 不動産担保融資
- 土地や建物を担保にした融資
- 【メリット】大口融資が可能
- 【デメリット】返済不能時に担保処分のリスク
🔹 ファクタリングとは?銀行融資と異なる資金調達法
ファクタリングは、企業が保有する売掛金をファクタリング会社に売却して、即日〜数日で現金化する仕組みです。借入ではないため、信用情報に影響せず、赤字企業でも利用可能という特徴があります。
✅ ファクタリングのメリット
- 借入ではないため、信用情報に影響しない
- 即日資金化が可能(最短24時間以内)
- 売掛債権の回収を代行してもらえる
- 債務超過や税金滞納企業でも利用可能
⚠️ ファクタリングのデメリット
- 手数料がやや高い(2社間: 10〜20%、3社間: 2〜10%)
- 取引先に通知が必要な場合がある(3社間)
- 一部悪質な業者も存在するため、選定が重要
🔍 ファクタリングと銀行融資の比較表
比較項目 | 銀行融資 | ファクタリング |
---|---|---|
資金化スピード | 数日〜数週間 | 最短即日 |
審査の厳しさ | 厳しい(信用・財務重視) | 売掛先の信用力が中心 |
利用できる企業 | 信用力の高い企業 | 赤字・債務超過企業でもOK |
費用 | 低金利 | 手数料が高め |
信用情報 | 登録される | 登録されない |
利用の柔軟性 | 融資条件に左右されやすい | 自由な債権売却が可能 |
✅ まとめ:どちらが自社に合っているか見極めよう
- 安定した経営・信用力がある企業 → 銀行融資(低コストで長期借入が可能)
- スピード重視・赤字/債務超過・急な資金需要 → ファクタリング(柔軟で信用に影響なし)
企業の資金ニーズや信用状況、急ぎの度合いによって使い分けることで、最適な資金調達が実現します。ファクタリングは、銀行融資が受けられない場面でも選択肢になり得る「ノンバンク型の資金調達手段」として、近年ますます注目されています。