企業間取引における資金調達方法として、「ファクタリング」と「廻し手形(裏書手形)」は混同されがちですが、実際にはその仕組みやリスク、運用方法に大きな違いがあります。本記事では、それぞれの特徴や違いを明確にし、どちらを選択すべきかを分かりやすく解説しています。
📌 廻し手形(裏書手形)とは?
廻し手形(または裏書手形)とは、受け取った手形に裏書(署名)を行い、第三者に譲渡することで、資金調達や支払いに活用する方法です。いわば、手形を”使い回す”ことで、取引先との間で間接的な決済を行う仕組みです。
✔️ 特徴
- 元の支払期日まで手形が連鎖的に使用される
- 資金が実際に移動するのは期日到来時
- すでに使用された手形でも譲渡可能
📌 ファクタリングとは?
ファクタリングは、企業が保有する売掛債権をファクタリング会社に譲渡し、売掛金の期日前に現金化できる資金調達手法です。2社間・3社間の形式があり、主に中小企業が活用する現金化手段として注目されています。
✔️ 特徴
- 売掛債権を早期に現金化可能
- 赤字や債務超過企業でも利用しやすい
- 売掛先の信用力が重視される
✅ ファクタリングと廻し手形の4つの違い
比較項目 | ファクタリング | 廻し手形(裏書手形) |
---|---|---|
資金調達時期 | 即日〜数日で現金化可能 | 手形の支払期日まで待つ必要がある |
取引先との関係 | 通知あり・なし選択可(2社間・3社間) | 取引先が連鎖的に変わる |
リスク | 売掛先が倒産した場合のリスクが限定的 | 手形不渡りのリスクが高く、連鎖倒産も |
信用調査 | ファクタリング会社が審査を実施 | 審査がない場合が多く不正が発生しやすい |
⚠️ 廻し手形に潜むリスクとは?
- 不渡りによる信用失墜・連鎖倒産のリスク
廻し手形が不渡りになった場合、裏書人(過去に譲渡した人)全員が責任を問われ、最悪の場合連鎖倒産に繋がることも。 - 不正利用や偽造リスク
裏書の偽造や二重譲渡が発生する恐れがあり、債権の真正性が担保されないという致命的な問題も存在します。
✅ ファクタリングが安全な理由
- 請求書ベースでの取引なので記録性が高い
- 専門業者が売掛債権の審査・回収を代行
- 取引先に通知せずに利用可能な2社間ファクタリングあり
- ノンリコース型(回収不能でも請求なし)での契約も可能
💡 結論:中小企業にとってはファクタリングの方が現実的かつ安全
現在では、手形文化は衰退傾向にあり、電子取引・ファクタリングの活用が主流となっています。特に中小企業にとって、廻し手形に伴うリスク(不渡り・偽造・連鎖倒産など)は非常に大きく、対してファクタリングは透明性・即時性・法的安定性に優れた手段です。